この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
行こうぜ、相棒
第4章 Rule The World
その間に生姜をひとかけすりおろし、大葉とミョウガをきざむ。
同時に昨夜の残りの味噌汁に火をかけ、かるく温めなおしたら、そこに刻んだワカメを入れる。一晩寝かせた大根はほのかに味噌が染みて、ワカメの青さと良いコントラスト。
冷蔵庫から半丁にパックされた絹ごし豆腐を取り出し、切子の鉢にそっとおく。そこに刻みショウガと大葉とミョウガを散らす。紺色の切子硝子の皿に、白い豆腐に大葉の青、ショウガのイエローとミョウガの茶色。
最後に小鉢に湯通しした小松菜を刻んで入れ、そこへ冷えただし汁と油揚げ、エノキの混ざったつゆをかける。かんたんなおひたしだ。
炊飯器に炊き上がった米は、北海道の友人が送ってくれたものだ。釜を開けると甘い匂いとともに、白い蒸気が立ち上る。
短い時間で手際よくこしらえた朝食を、エリはひとりで食べる。
『いや、半島、ちょっとマズいことになってきましたね』
ラジオからは、真面目な女性アナウンサーの定時ニュースの後に、朝の帯番組のDJのバリトンボイスが流れる。
『旧北朝鮮寄りの新政府がかつての独裁のような統治を行わない、とコメントして半島に統一政府ができて一二年。それからずっと続く内戦。
民族統一は美しいスローガンだとは思いましたが…。朝鮮半島、心配です。
では曲に行きましょう。冷戦ただなかの80'sのこの曲。懐かしい。ティアーズ・フォー・フィアーズで、ルール・ザ・ワールド』