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行こうぜ、相棒
第7章 No One Is To Blame
先生は目を閉じて、ゆっくり息をした。時間がゆっくり、冷えて固まるようだった。
「――もうすぐ、私は死ぬからね」
突然そう言った。
エリは驚いて、先生の方を見た。
先生はバァカウンターの向こうに並んだ、スコッチと焼酎と日本酒の酒瓶たちに話しかけた。
「――癌なんだ。
元気そうに見えるけど、多分あと半年。酒は飲めるけど、おでんのような柔らかいものでなくては、胃が受け付けなくてね」
微笑する先生。
「次の機会があるかどうかは分からない。
でも、あの時、年若いきみを抱きたいと、本気で思ったよ。きみが本気で感じているのもハッキリ分かった。今際(いまわ)のきわで、こんな魅力的な女性に出会えるなんて、と思ったよ」
ふふ、と先生は小さく笑って、グラスのスコッチを飲み干した。
「…次の時は、ランジェリーを外して、縛っていただけますか?」
エリは言った。言葉が、なめらかに口をついて出て言った気がした。
先生はこちらを向いて、「きみさえよければ」と言った。