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行こうぜ、相棒
第8章 Walk Between Raindrops




「ありゃ、怒ってるのか、それとも歓迎してるのか?」
「態度が悪いのよ、私にだけ」
「でも、オウナーなんだろ?」
「親のいない私に、母親気取りなんだから」
そう言って、エリはクスクス笑った。
「さ、食べて。私の店のおごりよ」

ふたりはグラスをかかげて乾杯した。
飲み物を口に含んだ柏木は、んー、と言葉にならない声を出した。

「こりゃ、高級だ」
「分かるの?」
「しばらくフランスにいたことがあるんだ」

エリもそれを口に含む。
白ワイン。辛口。それに華やかでフレッシュな香り。シャブリの良いボトルを開けてくれたのだ、とエリには分かった。
柏木にもそれが分かっていることが、エリには嬉しかった。
エリが取り分けたマダイの生ハムも、芳醇な香りとコクがあった。ルッコラの爽やかさとよく合う。シェフの新作なのだとエリは思った。

「親は、どちらも故人なのかい?」

グラスを傾けながら柏木が聞く。「俺もそうなんだ」

「2018年の東京でね」

あぁ…。
そう、言葉にならないため息を漏らして、柏木は答えた。一部の世代にとっては、それから15年経っても心の傷になる記号のような言葉だ。

「――同じくだ…」



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