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行こうぜ、相棒
第8章 Walk Between Raindrops

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2018年8月11日。
東京の豊海埠頭に停泊してい貨物船で起こった出来事で、その後のアジア極東地域の世界観は大きく変わってしまった。
ロシア船籍の、カラフトマスを運搬してきた古びた貨物船の中で、突然核爆発が起こったのだ。
その後の調査で、約70Ktクラスの小型熱核爆弾が使用されたことが明らかになった。
東京は、山手線圏内からディズニーランドに至るまでの範囲が一万度に近い熱線でなぎ倒され、見る影もなくなった。
その後の放射性降下物で東京23区と隣接するいくつかの市区町村は見事に壊滅した。完膚なきまでに。
国家機能は完全に麻痺し、大阪府が臨時政府となり一時の混乱を収めた。
その核爆発に関してはテロの疑いが濃厚だったが、どこからも犯行声明は出ず、最後まで犯人は明らかにならなかった。
大勢は当時の北朝鮮を疑ったが、証拠も何も全てが燃え尽きたなかで、それを証明することは誰にもできなかった。カラフトマスの貨物船の乗員名簿からは怪しい人物が発見されず、おそらくその貨物船とは別口で持ち込まれた小型核兵器を、秘密裏に、その哀れな貨物船の船倉に隠されたのだろうと推察がなされた。

