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行こうぜ、相棒
第9章 Want your body



人の尊厳を丸ごと奪う姿勢に固定され、わずかな慰めのように布一枚で秘部を覆われた。
エリは何も言わず、羞恥心と静かな興奮に高まる自分自身を観察していた。

先生はその間、一言を口をきかなかった。
エリももちろん、何も話すべき言葉を持たなかった。
部屋には磯場にはじける潮騒が、かすかに聞こえるだけだった。あとは麻縄が結ばれたり、垂らされたりする作業の音だけ。

それが済むと、先生は元のキッチンテーブルに戻った。
そして、何もせず、エリを見つめた。
エリはその視線を感じつつ、なにも言えぬまま、視線をそらした。
先生の視線が、肌を刺すのを感じた。わずかな間が、何時間にも感じられた。ヒリヒリとした感覚がタオルからはみ出た肌に感じられる。
身体が熱くなっていたことに、エリは気づく。
それが性感の高まりなのか、自分でも分からなかった。早く抱いて欲しいという願いだけがあった。なにもされぬままのこの時間が辛かった。
しかしそれは欲望の高まりというよりも、純粋な辛さのほうが勝(まさ)った。

気づくと、エリの頬に、熱い雫が一筋、伝った。
それはエリの顎を離れ、タオルの生地に落ちた。
それが涙だと気づくのに、かなりの時間がかかった。


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