この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
プラトニックラブなんてくそくらえ
第1章 青瀧教授
ふいに「蛍の光」が流れてきて、菖蒲子は現実に引き戻された。
荷物をまとめて図書館の外に出る時、菖蒲子は青瀧と目が合ったような気がした。
菖蒲子が慌てて視線を逸らすと、突然青瀧が彼女に話しかけてきた。
「君、さっきから僕のこと見てたよね。」
彼は涼しい目で菖蒲子を見ている。
だが、目つきとは裏腹に彼の口角は僅かに上がっていた。思いがけない言葉に、菖蒲子は固まった。
「えっ?」
「勿論、見てはけないというわけではないよ」
青瀧は魅力的な笑みを浮かべている。
「君、僕のやってるフランス文学の授業受けているでしょう?見た
ことがあるよ。」
「はい、今日も先生の課題のレポートをやるためにここへ来たんです。」
「へえ。レポートは進んだ?」
「そうですね、でも探していた本が借りられていてなかったんです。」
「何て本?」
「『砂漠と赤い花』です。」
「ああ、それなら僕の仕事場にあるよ。この近くだから、寄っていく?」
「いいんですか?」
「もちろん。」
菖蒲子は憧れの青瀧と一緒に街を歩いているのが信じられなかった。
心臓の鼓動はうるさいほどバクバク鳴っている。
青瀧の仕事場は、図書館から徒歩5分くらいの場所にあった。
自宅や大学では集中できないので、論文の執筆や読書のために仕事部屋を借りていると青瀧は話した。
仕事場に入ると、壁一面に並んだ大きな本棚が菖蒲子の目に飛び込んできた。
「お茶飲んでく?」
青瀧は小さなキッチンの戸棚からティーカップを取り出しながら言った。
「いえ、お構いなく。すぐ帰りますから」
菖蒲子は遠慮したが、青瀧は構わず彼女にお茶を出した。
「せっかくだから、『砂漠と赤い花』意外にも好きな本借りていきなよ。」
菖蒲子は青瀧の申し出に心躍った。
フランス文学の本だけでなく、日本文学やマンガ、サブカルの本も充実していた。
「図書館みたいですね。」
菖蒲子はうきうきした声を出した。
彼女はせっかくなので青瀧の淹れたお茶を飲みながら、青瀧の本棚をじっくり吟味した。
荷物をまとめて図書館の外に出る時、菖蒲子は青瀧と目が合ったような気がした。
菖蒲子が慌てて視線を逸らすと、突然青瀧が彼女に話しかけてきた。
「君、さっきから僕のこと見てたよね。」
彼は涼しい目で菖蒲子を見ている。
だが、目つきとは裏腹に彼の口角は僅かに上がっていた。思いがけない言葉に、菖蒲子は固まった。
「えっ?」
「勿論、見てはけないというわけではないよ」
青瀧は魅力的な笑みを浮かべている。
「君、僕のやってるフランス文学の授業受けているでしょう?見た
ことがあるよ。」
「はい、今日も先生の課題のレポートをやるためにここへ来たんです。」
「へえ。レポートは進んだ?」
「そうですね、でも探していた本が借りられていてなかったんです。」
「何て本?」
「『砂漠と赤い花』です。」
「ああ、それなら僕の仕事場にあるよ。この近くだから、寄っていく?」
「いいんですか?」
「もちろん。」
菖蒲子は憧れの青瀧と一緒に街を歩いているのが信じられなかった。
心臓の鼓動はうるさいほどバクバク鳴っている。
青瀧の仕事場は、図書館から徒歩5分くらいの場所にあった。
自宅や大学では集中できないので、論文の執筆や読書のために仕事部屋を借りていると青瀧は話した。
仕事場に入ると、壁一面に並んだ大きな本棚が菖蒲子の目に飛び込んできた。
「お茶飲んでく?」
青瀧は小さなキッチンの戸棚からティーカップを取り出しながら言った。
「いえ、お構いなく。すぐ帰りますから」
菖蒲子は遠慮したが、青瀧は構わず彼女にお茶を出した。
「せっかくだから、『砂漠と赤い花』意外にも好きな本借りていきなよ。」
菖蒲子は青瀧の申し出に心躍った。
フランス文学の本だけでなく、日本文学やマンガ、サブカルの本も充実していた。
「図書館みたいですね。」
菖蒲子はうきうきした声を出した。
彼女はせっかくなので青瀧の淹れたお茶を飲みながら、青瀧の本棚をじっくり吟味した。