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甘い時間は2人きりで
第12章 仲直り?
「何で、怒らないの…?」
「えっ!?」
「『あれだけ言ったのに、どうして分からなかったの』って怒らないの?私、約束破って泥酔して、もしかしたら誰かに…」
「茜さん、俺は…」
「あのー、山岡さん…」
空気が重くなったリビングに、藍さんが廊下から顔を出した。
「表にタクシーが来たんですけど…」
「あ、ああ…呼んだの来てたんか。すぐ行きますんで」
外に出て行く春人の背中を眺めていると、視界が滲んできた。
…また余計なこと言って、私はダメだ…
しばらくして戻って来た彼に、泣きそうな顔を見られたくなくて壁の方を向く。
「…茜さん、勘違いせんといてな。俺は怒ってないから。嫉妬して嫌な感情が湧き上がった俺自身が嫌やっただけやから」
「……」
「…今度の金曜日、俺んとこ絶対来て…」
『自分は悪くない』と相手から言われても、良い方に捉えられない。
春人の気持ちが自分の中で消化出来ない…
「茜ちゃん、お見送りしなくていいの?」
「…ごめんなさい、今は無理」
こんな顔で見送りなんて、出来ないよ…