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甘い時間は2人きりで
第21章 冷たい視線

そういえば、最近茜さんの様子がおかしかった。
黙り込んだかと思ったら、急に饒舌になったり…
付きまとわれてて、それで悩んでた?

「何で、俺に言わんかったんや…」
「私は『山岡くんに言った方が良い』って何度も言ってたけど、茜は『ツアー中だから、余計な心配かけたくない』って…」

茜さんなら、そう言いそうやけど…

「そんな気遣いせんでもいいのに…」

病室に入って、茜さんの左手に触れる。
左腕にも包帯が巻かれ、唇の端が赤く滲んでいた。

「茜さん…」
「今は痛み止めを打って眠ってるけど、さっきまでうわ言のように山岡くんのこと呼んでたの」

ベッドの傍にしゃがみ込んで、両手で茜さんの手を包み込んだ。

「茜さん」
「……」
「ごめんな、遅くなって…」

俺の手を弱々しく握ってくれた。
それを見て、犯人に対して強い怒りを覚えた。
茜さんをこんな目に遭わせやがって…

「山岡くん…私が言うのも何だけど、相談しなかった茜を怒らないであげて欲しいの。茜なりに気を遣ってたから…」
「分かってます。俺が怒ってるのは、大事な彼女に大怪我負わせた犯人にですよ」





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