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甘い時間は2人きりで
第21章 冷たい視線

恐る恐る頰に触れた。
ガーゼ越しでも分かる程に腫れている。

「春人、そろそろ…流石に今から山梨まで戻るわけにもいかんからな、マンションまで送る」
「あ、はい…」

手を離そうとしたら、茜さんの手が俺の手に恋人繋ぎをしてきた。
指を離そうとしても、茜さんがガッシリと俺の手を掴んでいて離さない。

無意識に俺のことを求めてくれてる…?

「春人…」
「おっちゃん、今2人を離すつもりなん?」
「……彼女が起きたら連絡しろ。朝迎えに来る」
「…秦野さん、ありがとうございます」

「山岡さん、娘の傍に居てやってくれませんか?」
「いや、ご両親の方がええんじゃ…」
「娘が1番傍に居て欲しいのは、山岡さんなんですよ…私達は近くのホテルに泊まりますので、明日来ますので」

言い終えると、ご両親は病室から出ていかれた。

「山岡くん…」
「美咲さんもありがとうございました」
「うん。私も明日必要なものを持って来るから。あとお願いね」
「は、はい…」

彼氏って言うだけで、皆任せて帰って行ったな…
大丈夫かな、茜さん…
こんだけ周りが騒いでても、全然起きへんな…




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