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甘い時間は2人きりで
第21章 冷たい視線

茜さんは不安げな表情で、左手で服の袖を掴んだまま離さない。

「茜…辛いのは分かるが、山岡さんも仕事だからな」
「う、ん…」
「しばらく西日本方面でライブ入ってるから、1週間は来られへんと思う。ごめんな…」

そんな泣きそうな顔しやんといて…
お父さんが優しく手を離した。

「は、春人、ツアー中なのに、来てくれてありがとう…凄く嬉しかった」

上着を脱いで、彼女に被せてあげた。
こんなんで気休めになるか分からんけど…

「時間が出来たら、絶対戻ってくるから。またスカイプとか電話しよ?」
「うん」

車に乗り込むと、涼介が不安そうに覗き込んで来た。

「良かったん?」
「良くないよ。ツアー先に連れて行きたいなんて考えてたし。でも、茜さんが自分のせいで俺がライブしやんっていうのは、絶対嫌やと思う…それに俺にはライブがあるから…」
「ふーん」

妙に納得出来ないという顔の涼介を見て、苦笑いしか出来なかった。




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