この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い時間は2人きりで
第22章 犯人
「ありがとうございました」
「いえ、失礼します」
気分が落ち着いたので、フーッと深呼吸をした。
「そういえば、藍さんは?」
「母さんなら、昼飯を買いに行ったよ。売店の弁当は種類が少なくてな、外に行ったんだ」
すると、袋を持って藍さんが入ってきた。
「ただいま戻りましたー」
「ああ、母さん…」
お父さんは先ほどの私の様子を話してくれた。
「ちょっとお父さん!?『茜ちゃんの事頼みますよ』って言ってたでしょ!」
「いや…ずっと目を瞑ったままだったから、寝てるかと思ってな…本当にすまん」
大丈夫だと声を掛けようとしたら、看護師さんが食事を持ってきた。
「長野さん、お昼にしましょうか」
目の前に食事が用意されると、藍さんは自分の弁当を片付けて、私に食べさせようと箸を持った。
「え、先に食べてよ?」
「何言ってるの?私なら後で食べるからいいの。はい」
口の前に煮物を差し出され、口に放り込んだ。