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甘い時間は2人きりで
第22章 犯人
身体が揺れて、痛みで目が覚めた。
目を薄く開くと、美咲が泣きそうな顔で肩を揺すっていた。
「茜、しっかりして!」
「美咲…」
「今、看護師さん呼んだから」
冷や汗がこめかみを伝う。
美咲が心配そうに背中をさすってくれた。
「嫌な夢見てたの?」
「…うん。今までは夜に見てたんだけど、たまに昼寝してても見るようになって…」
夜は睡眠薬で何とか眠れてはいるが、昼寝で服用しないよう心療内科の先生から注意されている。
「失礼します」
看護師さんが入室して、私の容態や脈、体温の確認を行った。
「体調はどうですか?」
「落ち着きました」
「安定剤の投与は大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます」
首を傾けると。春人のジャケットが目に入った。
早く会いたいよ…
抱き締めて欲しいのに…
美咲にジャケットを肩にかけてもらい、左手で袖を軽く握った。
「茜、スマホにメッセージ来てるけど?」
「ん、ごめん…今は見る気にならないから…」
眠気が襲って来て、ゆっくりと目を閉じた。
ジャケットのおかげか、今度はあの夢を見る事は無かった…