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甘い時間は2人きりで
第23章 久しぶりの2人の時間
店員が下がると、テーブルに置いた左手に春人の右手が重ねられた。
「ごめん、機嫌直して」
「機嫌って?」
「馬場さんって知ってる?」
馬場さん…
音楽雑誌『SCORE』のベテラン記者で、Blue Eyesのインタビューをよくしてる人。
「それが何?」
「その人食べ歩くのが趣味で、取材相手をもてなす意味で連れて行ってるんやって。俺はここに連れて来てもらって、めっちゃ美味かったから『茜さんも連れて来たいなー』って思ってたんや」
重ねた手がギュッと力が入る。
「今日茜さんと、この店来られて嬉しい」
「本当に?」
「当たり前やん。嫉妬させるようなことしてごめんな。嫉妬してくれて嬉しかったで」
胸のモヤモヤが晴れて、手を握り返した。
もう怒ってないことを手を握ることで伝えた。
「退院して、今は何してるん?」
「暇だから、仕事に活かせる資格を取る勉強をしてたり、仕事したり…」
「仕事!?年内休みじゃないん!?」
「業務は出来ないけど、部署からのメールを確認したり簡単なものだよ。片手で遅いけど、パソコン使えるし」