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甘い時間は2人きりで
第29章 2人きりの旅行
「そんな事無いで」と言いつつ、後ろ髪に顔を埋めて匂いを嗅いでるので説得力ゼロ。
片手を伸ばして、テーブルの饅頭を手に取った。
「茜さんお茶淹れて」
「…ちょっと腕離してくれないと、届かないんだけど」
「あ、ごめん。お茶淹れたら戻って来てや」
お茶を2つ淹れて、春人の腕の中に戻ると、私の分の饅頭も渡してくれた。
程よいアンコの甘さとお茶がよく合う。
「美味いな」
「うん。明日行くお土産屋さんで有ったらいいな」
「これもやけど、温泉饅頭とかも美味しそうやな」
ブーブー…
お菓子を食べ終わると、再び春人の携帯が震えた。
春人は私を抱き締めたまま、電話を取った。
「ちょっとごめん…はい、あー元気?」
さっきとは違い、楽しそうに通話をする春人。
友達からの電話かな?
「うん、俺?今は家でゆっくりしとるよ」
友達には私との旅行の事は秘密にしてるみたい。
「うん、今度東京来たらメシ行こうや。俺美味しいとこ知ってるから」