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甘い時間は2人きりで
第30章 春人の異変
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春人の声が心なしか震えているように思う。
背中に回された手に力が篭っている。
「いつも何かもらってばっかりで「いつか恩返しが出来たら」ってずっと思ってた。今回の10周年の対バンツアーでジャンルの違う、ひよっ子の俺らを初日に呼んでくれたのがすげえ嬉しかった。
良いライブにしようと思ってたのに…自己管理の甘さとポリープを放ったらかしにしてた俺のせいで、皆が楽しみにしてたライブを潰してもうた…」
話し終えると、深くため息を吐いた。
春人が自分の事でため息吐いてるの、初めてかも…
それだけ、先輩に対する想いが強かったんだ…
「俺ってプロ失格やな…今日もライブあるのに、皆が怖くて外に出られへん…」
「でも、出た方が良いよ。今日のライブ中止にしちゃったら、それこそ皆怒るんじゃない?」
「うん…」
それでも動こうとしない春人に、私はある事を教えた。
「…昨日ね、初めてツイッターで春人の事検索したんだ。そしたらね、昨日のライブ見た人の殆どが春人の事心配してたよ」
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