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甘い時間は2人きりで
第30章 春人の異変
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来てくれたのは若いスタッフさんで、去年の横浜ライブの時に、私を会場まで送ってくれた人。
彼の手には、ジャケットが。
「リハがひと段落しましたので、お迎えに上がりました」
「すみません。ありがとうございます」
「いえ。そうだ、会場へはコレを着て入ってください」
渡されたジャケットには「CREW」の文字と、対バンするアーティスト名が書かれていた。
それを着用し、スタッフさんの運転する車に乗り込む。
「しかし、彼女さんは凄いですね。僕らが頑張ってもハルさんは部屋から出てこなかったのに」
「そんな事無いですよ。春人も部屋から出る直前も躊躇ってましたから」
照れ臭くなって、顔を窓際に寄せる。
「うちのチーフマネージャー、彼女さんのことお気に召したみたいで、『長野さんをマネージャーにスカウトしたい』って言ってましたよ」
「そうなんですか…?」
「はい。メンタル面でのサポートをして欲しいと…」
「…お気持ちは有り難いんですが、私の事を必要として下さってる会社があるんで…」
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