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甘い時間は2人きりで
第30章 春人の異変
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「春人にボーカルを勧めたのも松田さんだって」
光「前のバンドでは涼介がボーカルやったんやけど、俺としては涼介よりコーラスで聴いてた春人の声の方が好きやったんよ。涼介の方が万人受けしやすい歌声やけど、春人の低い声が好きって人も居てた。
春人に『ボーカルはしやんのか?』って尋ねたことがあるんやけど、あいつは自分の声にコンプレックス持ってて、声が気持ち悪いって思い込んでて歌わんかったんよ。
しばらくして、俺が所属してたバンドが解散して、そろそろ働くかなってなった時に、春人達に『俺らのバンドに入ってくれませんか』って声掛けられた。
春人達のバンドではベースの子が親の跡を継ぐ為にバンド辞めて、春人達も将来のことについて悩んで、最終的に『バンドで食っていきたい』ってなって、バンド解散してフリーになった俺に声掛けたらしいよ。
『俺らの力じゃ足りないんで、光一さんの力を貸してください』って可愛い後輩に必死に頭下げられて、こいつらとバンドやってみるのもアリかなって思ったんよ。
でも、今の状態でやり続けても有名になれずにこいつらの才能も埋もれていってまう…そこで『俺も交換条件がある。山岡、お前がボーカルをやれ』と言ってみたんや」
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