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花菱落つ
第2章 真田源五郎
「いきなりで驚かせたらすまない。でもお前とならいい夫婦になれそうな気がするんだ」
源五郎は現在十七歳。いつ婚姻話が出てもおかしくない年齢だ。親や主君の決めた相手と結ばれるのが当たり前の侍の世界で、相手を自ら選ぶのは異例とも言える。だが、夫婦の愛情とは婚姻後に育んでゆくもの。十二とまだ若いが、すぐに凪も大人になる。美しくしっかり者の凪とならば、きっとよい夫婦になれるに違いない。そして何より、「ののう」としてこれから多くの男と身体を重ねなければならない凪をその境遇から救い出すことができると、源五郎は思った。婚姻には主君の承諾が必要なため、源五郎は甲府に戻り次第すぐにでも信玄に許しを乞うつもりでいた。
源五郎は現在十七歳。いつ婚姻話が出てもおかしくない年齢だ。親や主君の決めた相手と結ばれるのが当たり前の侍の世界で、相手を自ら選ぶのは異例とも言える。だが、夫婦の愛情とは婚姻後に育んでゆくもの。十二とまだ若いが、すぐに凪も大人になる。美しくしっかり者の凪とならば、きっとよい夫婦になれるに違いない。そして何より、「ののう」としてこれから多くの男と身体を重ねなければならない凪をその境遇から救い出すことができると、源五郎は思った。婚姻には主君の承諾が必要なため、源五郎は甲府に戻り次第すぐにでも信玄に許しを乞うつもりでいた。