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花菱落つ
第5章 裏切り
「昨夜、夜中にいずこから義信が西曲輪に戻ってくるのを見たと申すか」
「はい」

 翌朝、凪の姿は信玄の閨にあった。夜も更け数人の巫女と共に灯籠に点されていた火の始末をしていたところ、鳥居の前を義信が通りかかったのだ。義信は凪に気付かずそのまま去って行ったが、供すら連れず一人深夜に出歩くのは武田家嫡男という身分からするとあり得ないことだった。

「ふむ。虎昌の所へ行ったのだとしても、供を連れていないのはちとおかしいのう」

 信玄は考える風を装いながらも、忙しく手を動かして凪の薄い胸板にある桃色の突起を愛でている。何気ない手つきに見えるのに、凪は体を反らし、身体の奥から沸き上がるを衝動を必死に飲み込んでいた。

「さて。ここはどうじゃ」
「ひっ……あぁ……」

 楽しげな信玄の手がさらに動き、すでに天を指す凪のへのこを強くしごいた。限界までこらえてていたものが、声と一緒に溢れ出す。

「若いということは未熟ではあるが、時に若さゆえの熱を持つ。わしもそうじゃった。義信も、そしてそなたも、内には熱いものを秘めておる。その熱をどこへ向けるか、己の未熟な胸に手を当てしかと考えねばならぬ。特に義信は将来武田家を背負って立つ身。情にとらわれて熱を向ける方向を違(たが)えてはならぬのじゃ」
「……はい」

 快楽の奔流に流されそうになりながら、凪は頷いた。信玄は決して冷酷な人間ではない。次男の信親が眼を患ったとき、北条氏政に嫁いだ長女が懐妊したとき。折に触れて願をかける、子を持つ親らしい一面も持ち合わせていた。嫡男の義信に対する言動も、厳しくはあるが父親としての愛情を感じられるものだった。でなければ武田家の宿将、飯富虎昌を傅役につけたりはしない。
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