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『コミックサイトで逢いましょう』―番外編―
第2章 【第二部】 kiss・きす・キッス!
隠してもきっとそうなのだ…。
それを認めたくなくて文句ばかり言ってしまうのだろうか。
でも…認めるのが恐い…この先に進むのが恐い…。
今のままで良いような気がする。
進みもせず…このまま中途半端な関係で。
進まなければ終わってしまうしかないのかもしれないけど。
今まで経験してきた淡い恋と同じように。
フリスビーを追って芝生の上を行ったり来たりする小犬を見ているうちに、何時しか俺は、穏やかな午睡の誘惑に落ちていた。
春風が髪を嬲(なぶ)る。その気配は暖かだけど、汗が引いてきた身体にはゾクリとした震えが走る。半分眠りに支配された気怠い身体が寒さを感じ始めたとき、爽やかなグリーンノートの香りが俺を包み込んだ。
温かい…まるで自分が幼子で、母親の胸に抱かれているかのように。こんな温もりを、俺はずっと求めていたんじゃないのか?
いつ頃のことだろう。遙か、遙か遠い昔の記憶。