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『コミックサイトで逢いましょう』―番外編―
第2章 【第二部】 kiss・きす・キッス!
そのまま、俺の髪を弄んで時間を潰す耿輔。
その切ない仕草に、俺の心臓は何故か激しい鼓動を打つ。
ヤツの表情を伺おうと薄目を開けた俺と、耿輔の視線が絶妙のタイミングでかち合ってしまう。
何言われるんだろう…。
答えを要求されるだろうか…それとも力任せに迫られるか。
でも、ヤツの口から零れてきたのはたった一言。
「キスしてくれる…?」
思い詰めたような表情で、耿輔が俺の瞳を真っ直ぐ見て言う。
そんな顔して言われたら…どうしたらいいんだ。
時間が止まってしまったように思えた。
俺には他に選択肢が無い──
人を惑わす春風の魔法に掛かったのだろう。
そうでなかったら、男相手にキスするなんて考えられない。
俺は言われるままに、耿輔の唇に自分の唇を重ねた。
自分から仕掛けた事なんて、女の子にだって1,2度しかないのに。慣れない俺の唇は震えて、お世辞にも上手いキスとは言えない。軽く唇を重ね合わせた後、ほんの少し舌先で唇をなぞるだけのキス。
それでも凄い勇気が要ったのだ。