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『コミックサイトで逢いましょう』―番外編―
第2章 【第二部】 kiss・きす・キッス!
心臓が口から飛び出しそうなくらいドキドキしている。
まともに相手の顔も見られないで俯く俺とは対照的に、耿輔は俺を抱き締めたまま嬉しそうな声で言う。
「少しは進歩したのかな俺たち?俺だけの空回りじゃないって信じても良い?」
その言葉を聞いた途端、俺の思考は日常を取り戻して、激しい混乱状態に陥った。
これって、もしかして耿輔の仕組んだ罠?
俺、罠に掛かったのか…俺が起きてること知ってて、独り言を言った?
耳朶まで真っ赤に染めて、言葉も出ない俺を抱き竦(すく)めて耿輔が耳許で囁く。
「今日だけじゃないよな? 俺がモトミにキスできる権利、俺だけの特権」
嘘…いつからそういうことになったんだ?!
耿輔のペースに流され過ぎじゃないか、俺?
でも、ゆっくり考える暇も与えられず、俺はこの後耿輔のキスの洗礼に晒されることになった。
”ヤダって…スケベ耿輔!”
ヤダって…
でも、それが俺の本心なのかどうか見極める事自体もうどうでも良くなっていた。
恋に堕ちるのに理由は要らない。
ただ、呪文を一つ唱えるだけ。
“kiss・きす・キッス!”