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『コミックサイトで逢いましょう』―番外編―
第1章 【第一部】これより先危険につき!
「おまえなー、此処まで来るあいだに起こせよ!どうすんだよこんなとこで降りて!」
耿輔に言われるままに降りた駅は小田原駅。
何が嬉しくて貴重な休日に、小田原くんだりまでこんなヤツと出掛けなきゃならないんだ。
登戸で南武線に乗り換えてれば、今頃はとっくにアパートに戻っているころ。経堂辺りまでは起きていた筈だからその後、一時間以上も寝た勘定になる。
起こせよ~!
耿輔は俺の憤りなど何処吹く風という顔付きで、美味そうに煙草を吹かすと、余裕かまして俺の方に向き直った。
「いいじゃん。俺バイト代入ったとこなんだ。丁度ゆっくり風呂入りたかったし…」
「それとこれとどういう関係が有るんだ。俺はここから帰るのが大変だろって言ってんだよ!」
「まぁ、深く考えるな。とにかくメシにしようぜ。折角、小田原まで来たんだから美味いモノ食わせてやるよ。買い物に付き合わせたお詫びに奢るからさ」
調子の良いことを言って改札を抜けると、タクシーを拾う耿輔。
遅い朝飯を食ったきり、何も口にしていなかった俺の胃袋に訴える心理作戦で、まんまと俺をタクシーに押し込む。
だが、次に耿輔の口から出てきた言葉を聞いて、俺は思わずタクシーを降りたくなった。
「ヒルトンホテルまで」
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策士《耿輔》と、学習しない《モトミ》
災難は何気無い日常から。
モトミ明日はどっちだ?!(明日はあるのか?)