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堕天使 1st gig.
第17章 女王様
今日は夕飯はいつもの焼き鳥屋だ。だが、店に入るなり俺は微妙に不機嫌だ。

理由はいつものメンバーに加えて、ニヤニヤする五十嵐とオドオドする大地が居たからだ。

この野郎…

と俺は五十嵐を睨むが、五十嵐はその程度で動じる男ではない。大方、小雪がお節介に大地が凹んでるとか言って五十嵐に意見を求め、五十嵐が焼き鳥屋に連れて来いとか言った結果なのだろう。

小雪は

『うちの新人さん、大地っていうんだけど、隊長が今一番いじめてるんだよね。』

とリナにまでわざわざ余計な事を言ってやがる。五十嵐はニヤニヤしたまま

『鬼隊長だからな。』

と嫌味のように俺に言う。

わかってんなら、連れて来んなよ…

俺は五十嵐にそう言いたいが大地はひたすらオドオドと俺の顔色を伺っている。

それが問題なんだと俺はため息が出ていた。

大地の問題点は俺ばかりを見ている事だ。俺を目標だと言った大地は俺に認められようと俺の機嫌ばかりを探っていやがる。

雄太達は常に俺を叩きのめすつもりで挑んで来る。だが、訓練学校で雄太達に格の差を見せつけられた大地は俺に挑む事すらせず、従順に俺に従う事ばかり考えていた。

それは任務中、俺の判断にミスがあれば部隊の全滅を意味してしまう。だから宗司は俺が間違いを犯せば俺を平気で止めて叱る。それは雄太やハヤト、涼宮ですら同じ事だ。

ただの俺の言いなりの兵士なら、はっきり言ってうちは要らない。五十嵐だってそれをわかっていて、大地を甘やかすようにここに連れて来やがった。

『全く…。』

と言う俺に大地はビクついて

『お邪魔なら帰ります。』

とか言いやがる。俺は大地に

『飯食いに来たんだろ?今は休暇中だから俺に気を使わずに好きにしろ。』

と言ってやる。ただオドオドを繰り返す大地にリナが

『アルト、いじめたら可哀想だよ。』

と言って来る。俺はリナには言い返せない。不機嫌なままリナに

『リナ、ビール。』

『リナ、飯。』

と大地は無視して飯を食う。そんな俺に大地は少し不思議そうな顔になり、五十嵐が大地に

『お前さんには鬼に見える赤羽も、女の前じゃただの可愛い男だぞ。』

と偉そうに言っていた。俺は五十嵐に

『五十嵐さんは女の前じゃ仔犬になるからな。』

と嫌味を言ってやる。
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