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堕天使 1st gig.
第21章 栄養摂取
まだ残暑はあるものの気温が少しはマシになった頃、リナのつわりもマシになるかと俺は期待をしたがダメだった。

僅かひと月で、リナは俺と初めて出会った時くらいまで痩せてやつれた中、休暇中だが、動けないリナを残して俺は出掛けていた。

行き先は不動産屋だった。今のマンションでは子供はやはり育てにくいという事と、俺に何かあった場合、リナが困らないようにする為だった。

軍の条件があるから物件は限られたものしか見れなかったが中古だが、前のオーナーが1年で手放したという綺麗な戸建てが見つかった。その物件を案内され確認しながら俺が

『キャッシュで買う。』

と言うと不動産屋はかなり驚いた顔をしたが俺が軍人だから

『では、書類が揃い次第、決済させて頂きます。』

と言っていた。俺が施設を出た時に国が預かっていたという両親の遺産が俺の手元には入っていた。更に、大戦、海外派兵時代は全く俺は金を必要とせず、対テロでは危険手当てもある分、多分、普通のサラリーマンの3倍は貰っている状況だ。

だから、小さいがこのくらいの家ならもう一軒買う余裕はある状態で俺はこの家をリナ名義で買う事を決めていた。

小さな庭付きで玄関前には駐車場、1階は1LDKの間取りに2階が2部屋という本当に小さな家だったがリナと俺と子供だけなら充分だと思っていた。

後は残った金の半分をリナの口座に振り込んでいた。この先出産にどれだけ費用がかかるとか全くわからない俺はとりあえずまとまった金をリナに先に渡しておくのがいいと考えていた。

今のところ、俺だって簡単には死ぬつもりはないが、万が一は避けられない立場だから、今俺がしてやれる全てを出来るだけリナにはしてやっていた。

家に帰るとベッドで寝ていたはずのリナがやはりまた吐いていた。リナが落ち着くのを待ってから俺は

『引っ越すぞ。』

と言っていた。リナが驚いた顔をするから俺は不動産の事とリナの口座に入れた金の話しをしていた。リナが

『うちって貧乏だと思ってた。』

と久しぶりに俺に笑っていた。
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