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堕天使 1st gig.
第21章 栄養摂取
俺は毎月、リナに給料の半分を振り込んでいた。残った俺の口座から家賃や光熱費が引き落とされるがそれでも毎月残る金がある状況だ。

でもリナは俺が振り込む全てが俺の給料だと思っていたからそれを更に節約してリナも必死に貯金をしていたと笑っていた。

『お前、軍人の給料舐め過ぎだろ?』

と言った俺にリナは

『だって、アルトのお給料しか知らないもん。』

と笑っていた。ただ久しぶりのリナの笑顔だったから俺は怒る気にならずリナと笑っているだけだった。

不動産の契約が無事に済み、休暇に五十嵐が軍のトラックをまたしても私用で持ち出し、小雪と宗司と彩華さんで引っ越しを手伝いに来てくれた。

元々、荷物が少ない俺とリナだから、荷物は1階だけで収まり、2階は空っぽの部屋のままになる状況だった。

ただ、やはりリナがまだ体調が戻らず五十嵐も宗司達もリナに気を使って引っ越しが終わり次第に帰っていた。

彩華さんの意見で1階のリビングから出た廊下の先にある洋室を寝室にしたのだが、そこにリナを寝かせて俺は何もないリビングにいた。

前よりも少し使い勝手が良くなった台所にダイニング部分に一応リナと使っていた小さなテーブル、そしてリビングにはリナが使っていたテレビを設置したが、後は何もない空間が広がるだけのこの家に

落ち着かない…

とか俺が考えていると寝室から出て来たリナが泣きそうな顔で

『アルトが遠いよ…。』

と言っていた。リナの気持ちは理解出来るが今はリナの気を楽にする事だけを考えるから俺は

『そのうちに慣れる。』

と半分自分に言い聞かせるようにリナにキスして言っていた。結局、その休暇はずっと落ち着かないリナが俺のそばから離れようとはしないままだった。

リナを抱えたまま俺はある不安も抱えていた。今週はサミットの下見で俺と宗司だけが出張する事になるからだ。

『俺の留守の間、やばいと思ったら彩華さんのところか涼宮のところに行けよ。』

とはリナに言ったがリナは寂しく笑うだけだった。
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