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第22章 後悔

この子って、宗司が好きなんだよな？

とか考えながら岩本に俺は

『着いたぞ。』

と言ってみた。岩本は突然深呼吸をすると

『良かったら、食事に行きませんか？』

と言い出した。

『んあ！？』

『やっぱり、ダメですよね…。』

『そりゃ、そうだ。』

『…。』

結局、また岩本が黙ってしまい俺は

『俺でいいなら話しくらいは聞いてやるが、誤解を招くのはお断りだ。』

と岩本に言っていた。岩本は

『私の事、五十嵐隊長から聞いてませんか？』

と聞いて来る。俺は

『だから、何をだ？』

と聞き返すと岩本は半泣きの顔に変わっていた。

乗せるんじゃなかった…

そう思った俺の前にふわふわと見慣れた銀の髪が見えたから俺は車から降りて

『リナ！』

と声をかけていた。リナは

『あー、やっぱりうちの車だぁ。』

と呑気に言っていた。

『買い物か？』

『うん、病院の帰り、買い物は終わったよ。』

『なら、車に乗れ。帰るぞ。』

そんな会話をリナとしている間に岩本が俺の車から降りて

『ありがとうございました。』

と頭を下げて立ち去っていた。リナが入れ替わりに車に乗り俺に

『あの人、五十嵐さんのとこの人だよね？』

と聞いて来る。俺は

『五十嵐さんの副官、なんか話しがあるとか言うから送ってやったが、よくわからん話しだった。』

とリナに説明していた。基本、女に誤解を招くのは俺は嫌いな人間だ。だから普通にそういう事はリナには俺は説明する。リナはクスクスと笑って

『アルトって鈍いよね？』

とか言い出した。

『んあ？』

『あの人、アルトが好きなんだよ。五十嵐さんが宗司さんのファンクラブとは別にアルトのファンクラブもあるって言ってたもん。』

『はぁ！？』

そんな話しは俺は初耳だった。だが、リナは

『あの人、何回か街で見かけたし、バーベキューの時もずっとアルトだけ見てたからね。』

と笑っていた。

『知るか…、そんな事。』

そう言った俺にリナが

『そういう人だよね。アルトって…。』

と呆れたように言っていた。俺は俺に対してはっきりしない人間は関係ない人間として覚えない。

だから岩本に今更俺のファンだとか言われても俺には結局関係ない人間として俺は扱うだけだった。

今更の岩本の後悔をリナは何故かわかっているから俺に笑っているだけだった。