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堕天使 1st gig.
第3章 現場
好きな女に一途になる五十嵐に対し、俺は来るもの拒まず去るもの追わずの人間だから、そういう部分は良い育ちのキャリアな五十嵐が可愛く見えてしまう。

そうやって俺が五十嵐をからかっている間に宗司が黙っていつも通りに俺の昼飯を用意する。五十嵐は宗司を見ながら

『相変わらず出来た嫁だな?』

と俺に言って来る。俺は当然とばかりに五十嵐に

『俺にベタ惚れだからな。』

と言っていた。そんな俺に宗司は

『貴方みたいな歪んだ愛情はお断りです。』

とため息をついていた。そうやってふざけて飯を食ったら午後は書類仕事だった。

今日は訓練兵の評価表などの作成だが、初日じゃほとんどの奴の顔と名前は一致しないから俺は支倉 大地の評価と一番最後にグランドに来た奴の評価だけを付けてやる。

一番最後に来た奴は要するに落ちこぼれだ。2週間の間、とりあえずトップと最下位だけを評価する。俺は人の名前と顔を覚えるのが苦手だから、まずはそうやってトップと最下位だけの評価を続ける。

2週間もすれば宗司が何故か全員の顔と名前を覚えるから俺は宗司任せで評価表を作成するだけになる。

そんないい加減な仕事をしていた俺に宗司が

『あの訓練兵に興味が湧きましたか?』

と聞いて来る。

『んあ?』

『今日のトップだった訓練兵です。』

『まだ初日だからな。』

『でも、ずっと見てましたよね?』

『あいつ、俺らと同じだったからな。』

俺は笑って宗司にそう答えていた。同じなのは訓練兵の大地はハンデを日常から付けているという事だ。俺は大地にそう確信していた。ハンデに慣れている奴と慣れていない奴では身体の動き方が違うからすぐにわかる。

だが、まだ初日だ。2週間、あいつがトップを取り続けるタイプかたまにはサボっても良いかと手を抜くタイプか見極める時間が俺には必要だ。

そうやって勤務時間の終了までを適当に仕事したら俺は宗司に

『悪いが帰る。』

と言ってみる。瞬間、宗司は目付きを変えて

『また…、ですか?』

と俺に言う。このタイミングで雄太が俺に

『隊長、晩飯は?』

と聞いて来る。俺は雄太と宗司に

『先約があんだ。』

と言っていた。
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