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堕天使 1st gig.
第3章 現場
相変わらず、早く帰る理由を真面目な説明しようとしない俺に宗司は不機嫌な顔で

『寝不足だけは止めて下さい。』

と言っていた。俺は宗司に

『わかってる。』

とだけ言って本部を出ていた。本部から車で出た俺は病院に向かう前に街に出て1組の布団を買い、1本のスペアキーを作っていた。

それから、軍人病院に向かってリナの病室に行ってやる。昨日よりも遅くなった俺を見るなりやはりリナが泣きそうな顔で俺に飛びついて来た。

『ちゃんといい子にしてたのか?』

俺はリナに聞いてみた。いつもの夜勤らしく年配の看護婦がリナの病室にいて

『今日は大人しく自分でご飯を食べて自分でお風呂も済ませましたよ。夕食は退院するから今日はまだなのですけどね。』

と笑って上手く説明が出来ないリナの代わりに俺に状況を説明してくれる。俺は看護婦に

『なら、連れて帰るよ。』

と言っていた。看護婦は

『これ、この子の荷物です。』

と小さな紙袋を俺に渡していた。紙袋の中身はリナのパジャマや着替え、看護婦がくれたお古、リナが最初に着ていた不似合いなブカブカのワンピースなどだった。

今のリナはピンクのジャージに白いデッキシューズを履いていた。リナの少ない荷物にやたらとピンクが多いから、どうやらこの看護婦はピンクが好きならしいとか俺は考えていた。

とにかく俺は俺にくっ付いていたリナの頭を押さえて

『ちゃんと挨拶をしろ。』

と無理矢理に看護婦に頭を下げさせてからリナを連れて病院を出ていた。

まず、リナを俺の家に連れて行く前に俺はリナをコンビニに連れて行っていた。幸い看護婦がリナ用に首から紐で下げられる子供用の財布を買ってくれたらしく、俺が看護婦に預けた金の残りをちゃんとリナが持っていた。

俺はその財布に金を足し入れてからリナに

『コンビニで買い物をする。俺がまずやって見せてやるから、やり方を覚えてリナが自分で出来るようにならないとダメなんだ。』

と教えていた。このコンビニはうちから真っ直ぐに来て300mというところだ。俺が居ない時は基本、リナが飯を買うのはこのコンビニになる以上、買い物という仕組みをリナにしっかり教えておく必要があった。
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