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堕天使 1st gig.
第30章 レセプション
俺はいつものようにリナの頬にキスしてから

『今すぐベッドに入れたいくらい似合ってる。』

と言っていた。リナは一気に赤い顔に変わり

『馬鹿…。』

と言って来た。リナなら大丈夫と言っていた宗司の言った意味がなんとなくわかった気がした。

元々目立つリナだが、こういう姿になると目立つが控えめに見えるリナに変わり、普段からただ俺の隣であまり余計な事を言わずにニコニコとしているリナだから、軍人にはまさに理想の女に見えてしまう。

会場に入るなり、飲み物を出して来たウェイターがさっそくリナに赤い顔をしていた。

ウェイターは現地の一般兵士だ。こういう予算はケチるのが軍だ。

俺がうんぬんよりも、今夜はリナが俺の後ろに控えて歩くだけでリナはかなり注目を浴びている状況だった。

俺が会場を見渡すと今回の演習の陸軍総司令官である大将殿がお取り巻きの指揮官達をゾロゾロと連れて会場のど真ん中を陣取っていた。

そのお取り巻きの1人と俺は目が合い

嫌な予感…

とか思ってしまった。目が合ったのは「貧乏くじ」だ。あれ以来、全く会う事がなく、公式では俺が上官を殴った事実は存在せず俺は謝罪すらしなくていい扱いになっていた。

俺が「貧乏くじ」から目を逸らすと、よりにもよって大将殿が婦人を連れてこちらに向かって来ていた。

チッ…

と頭で舌打ちをし、仕方なく俺は敬礼の姿勢に入っていた。大将殿が俺の前で立ち止まり、リナを見てから一瞬驚いた顔をした。

説明などの必要はなく俺の隣にいる以上、リナは俺の婦人、つまり嫁である。「貧乏くじ」までもがリナには赤い顔をし始める中、鴬色の着物を着た落ち着いた感じの優しげな笑顔の美人がリナに

『あら、可愛い。やっぱりその色にして良かったわね。』

と笑いかけていた。

大将殿の婦人か…

趣味のいい大将殿の婦人は今回のリナの着物を一緒に買いに行き、見立てをしてくれたらしい。リナは

『ありがとうございます。』

と控えめに婦人に笑って頭を下げていた。大将殿は

『噂の「跳ねっ返り」に期待してる。』

とだけ俺に言うとすぐに俺に背を向け立ち去っていた。
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