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堕天使 1st gig.
第30章 レセプション
入り口の俺とリナにやっと気づいた美優はダッシュのハイハイで俺の足元まで来てから、泣きそうな顔で

『あー…。』

と手を伸ばし、情けない声を出していた。俺は

『嘘つけ!絶対に今まで俺を忘れてたろが!?』

と美優を抱き上げてやっていた。

将来は絶対に泣き真似するタイプだ…

と俺は美優に警戒していた。美優は抱っこにご機嫌で俺とリナは少しだけホテルの庭を散歩していた。

普段ならもう眠っている時間の美優は抱っこの散歩にすぐに眠ってしまっていた。リナ達の部屋の前で美優をリナに渡し、俺はリナにキスだけして

『次は休暇な。』

と言っていた。リナは

『ちゃんと頑張ってね。』

と少し寂しく笑っていた。リナには婦人会のスケジュールで兵舎の食堂で食事を作る手伝いなどのボランティア的な仕事があるが、美優が小さいからと短時間の楽な仕事しかリナには回らないようになっていた。

だから5日間のほとんどを美優と2人で過ごす事になるリナを見ているのが俺は少し辛かった。

リナ達のホテルの敷地を出て、軍の兵舎に俺はのんびりと歩いていた。熱帯のねっとりした気候だから夜風なんかなく、気持ちがいい夜とは言えなかったが1人で歩いていると軍の縦社会の煩わしさは感じないだけ気分的には楽だった。

兵舎の前には俺を待っていた宗司がいた。俺は宗司に

『待ってなくて良かったのに。』

と言ったが宗司は

『食後のコーヒーがまだでしたから。』

と俺にコーヒーに付き合えと言っていた。リナが居ないのは辛いが5日間は宗司が俺の女房だから俺は

『腹減ったけど、食堂はまだ飯があるかな?』

と言っていた。宗司が

『カレーならやたらとあるらしいですよ。』

と答えるから俺は

『カレーだけは絶対に手を出すな!』

と言っていた。食堂で宗司と2人で、多分婦人会が用意したと思われるおにぎりがあったからコーヒーで流し込んでいた。

宗司は兵舎の俺の部屋の前まで来てから

『では、また明日。』

と言って立ち去っていた。

長い5日になりそうだ…

そんな事を考えながらシャワーを浴び俺は1人のベッドで眠っていた。
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