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堕天使 1st gig.
第32章 防衛
振り向きざま俺は

『んあ?』

となっていた。

防衛中隊、隊長が女!?

そんな驚きを隠せない俺に女は

『陸軍第2師団、第1中隊防衛隊隊長の羽賀中佐よ。「跳ねっ返り」。』

と俺はいきなりあだ名で呼び捨てにされていた。俺は羽賀に向かって

『なら現状報告してくれ。』

と言っていた。羽賀は

『上官に対する敬意は?』

とまるでこの状況を楽しんでいるかのように言って来た。

この女…

とタダでさえ苛立っていた俺はこの任務を放棄したい気分になっていた。そもそも、俺達だけの任務なら、この現場のトップは俺になる。

だが、バックアップとはいえ、中隊が出動し、中佐が指揮を取る場合、必然と俺はこの女の指揮下に入る事になるからだ。俺は不機嫌なまま羽賀に

『では、現状報告をお願い出来ますでしょうか?中佐殿。』

とわざとらしく敬礼をして聞いていた。羽賀は

『現状なら、うちの副官に説明させるわ。御手並み拝見させてもらうわよ。「跳ねっ返り」。』

と2度目の俺のあだ名を言って本部から出て行った。

『なんなんだ!?』

キレかけ寸前の俺の前に、ごく普通の男が来て

『中佐の副官である桜井です。現状説明をさせて頂きます。』

とやたらと真面目に状況説明に入っていた。状況を聞き、俺は簡単には身動きが取れないと判断し本部のテントから羽賀のように出ていた。

とりあえず俺はハヤトに前もって選出させていた現場が一望出来る狙撃ポジションへと向かっていた。

スコープから現場を眺めて報告通りかの確認を自分でする為だった。そのポジションに着いた俺は少し驚きが隠せなかった。

そのポジションに既に羽賀が居たからだ。俺は羽賀に

『どいてくれ。』

と言っていた。羽賀は意味有り気な顔をして

『貴方こそどいてくれない?本来なら今私が率いている中隊は貴方のものになって、私が対テロの隊長になるはずだったんだから。』

と俺に向かって言っていた。俺は羽賀に

『お生憎様だ。』

とだけ言って現場の確認に入っていた。確かに羽賀の判断能力なら対テロの隊長に任命されてもおかしくはないと俺は感じていた。
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