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堕天使 1st gig.
第33章 台風
そういう事情の羽賀を引き受けた五十嵐だったが、既に有名人の羽賀は初対面の五十嵐に

『今度はあんたが上官なの?』

という態度だった。五十嵐はとりあえずのんびりと

『お前さん、随分嫌われとるらしいからな。』

と答えていた。羽賀は

『嫌われても生き残って勝てばいいのが軍でしょ?』

と五十嵐を鼻で笑い開き直っていた。五十嵐は羽賀が何故そういう人間なのかを考える為に羽賀の経歴や従事した作戦任務を徹底して調べ上げる事にした。

元々、大学で情報処理を専攻していた五十嵐はそういう情報収集はお手の物で今の情報部に行く事になったのもその為だった。

五十嵐は任務が降りた場合、徹底してその任務内容に従事た情報を収集して生き残って来た人間だった。

だが、五十嵐がわかった事は羽賀は養女だが、割と裕福な家庭で育てられたという事実と、良いところのお嬢様学校の高校を出た事実だけだった。

羽賀は大学にも行けたはずのお嬢様学校を選ばずに参戦を日本が決めた直後に軍に志願している事実と、羽賀の任務経歴からは上の人間を押し退けてでも羽賀が任務をやり通す無茶なやり方を好む人間だとしか五十嵐にはわからないままだった。

踏み台にされるのはお断りだと五十嵐はしばらくは羽賀の様子を見る事にしたが、羽賀は常にお取り巻きの部下を従えて行動するくらいしか五十嵐にはわからなかった。

ある日、五十嵐の小隊に先駆け任務が降りていた。既に前線に配置されていた五十嵐だが、防衛ラインを広げる為に、配置された基地の更に敵陣ギリギリにある村へ向かうように指示を受けたのだった。

五十嵐の任務はその村へ行き、食料や水、医薬品などを提供する条件と引き換えに軍の駐屯、及び防衛ラインの設置を村に説得する役目が課せられていた。

村がその条件を飲めば、大隊が派遣され、そこに新たな防衛ラインが敷かれる。万が一、村が既に敵側についていた場合は五十嵐達は戦闘により村を占拠し、村人は捕虜として敵陣営の情報を吐き出させるのも任務に含まれている状況だった。
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