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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
「理菜の脳は完全に正常な状況で安定した。細胞劣化は完全に0の状態で、自立機能も活動を見せている。これなら、理菜を水槽から出してやれる。理菜、お父さんと会えるのはもうすぐだからね。」

「理菜を水槽から出した。脳に異常は全くない。細胞劣化の劣化もないのに、理菜は自立呼吸をしようとしない。あれだけ私の言葉に反応していた脳も全く反応せず、今は徐々に信号が弱まっていくばかりだ。」

「実験に失敗したのか?私はマリアの時のように再び理菜までも失うのか?そんなのは嫌だ。もう耐えられない。マリア…、頼むから私を助けてくれ…。」

これがリナと俺が出会う3日前の文面でこの後、およそ10年以上の実験に失敗したと思った市ノ瀬は完全に正気を失い自殺したんだと俺は思っていた。

そこから何が理菜に起きたのかはわからない。だが、俺の直感的な考えで言うならば理菜は何らかの形で蘇生したのだった。

つまり、市ノ瀬の実験はちゃんと成功したのだと俺は思っていた。そして、記憶がない理菜はリナになり、俺の前に現れた。

どうやってリナが俺の前まで辿り着いたのかはわからない。だが、人間本来の生きるという本能を遺伝として組み込まれているのならリナはリナなりに生きる事に必死で生きる為に俺を選び俺を愛し、美優を産み、今も俺達と生きる為に必死なリナなんだと俺は感じていた。

全てを俺が俺なりに理解した時、五十嵐が

『何かわかったか?』

と聞いて来た。俺は

『ああ、この日記は処分しなければならないものだという事が充分にわかった。』

と答えていた。人を蘇生したり、人のクローンを作るとか、自然に反したこの日記を欲しがる奴は山ほど居るだろうがそれはリナには関係ない事だから、俺はまずこの日記をこの世から抹消する事だけを考えていた。

既に日付けが変わる前の深夜に近い時間に俺と宗司と五十嵐は河原の堤防に向かっていた。橋桁の下に少し穴を掘り、俺はその日記を燃やしていた。

五十嵐が

『本当にいいのか?』

と俺に確認をしていた。
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