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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
俺はただ笑っていた。笑いながら日記を燃やし続け五十嵐に

『リナはやっぱりリナだった。俺の嫁で美優の母親でそれ以外の何者でもない存在なんだよ。』

と言って笑っていた。気が狂ったみたいに笑う俺に五十嵐も宗司もずっと黙ったまま日記が燃え尽きるのを見続けていた。

帰り際に五十嵐が

『この件に関する今までの全ての記録は抹消しておくから安心しろ。』

と言って帰って行った。俺達が市ノ瀬の家を調べた事や銀行に行った事の記録や銀行に登録されているであろう日記の記録、そしてこの件を調べる為に五十嵐がでっち上げた記録などを全て消し、この1件は闇に葬ると俺達は決めたのだった。

宗司とも別れ、俺は家に向かっていた。もう完全に深夜だからリナは寝ていて、明日はリナに文句を言われるんだろうとか考えて俺は笑って帰っていた。

帰って、リビングに向かった俺は少し驚く事になった。もう眠っていると思っていたリナが灯りも付けずに暗闇のリビングの真ん中でにへたり込むように座っていたからだった。

俺に気づいたリナは

『おかえり…、なさい…。』

と言って来た。俺は反射的に

『ただいま…。』

と答えたが、俺の目の前のリナが驚愕の顔に変わり

『アルト!?』

と叫んでいた。俺はリナが何に驚いているんだと思いながら、次の瞬間には俺は俺自身に驚いていた。

俺が泣いていたからだった。俺は笑っているつもりだったのに、俺は何故か目から涙を流して泣いていた。施設に入ってから絶対に泣かないと決めて来た俺は何故か泣いている自分に気がついた。

俺は泣きながらリナの前にへたり込み、リナが俺の頭を抱えるように抱きしめて

『アルト、何があったの?誰かに傷つけられたなら私は絶対にその人を許さない。』

と怒りを露わにしてリナが俺の髪を撫でていた。俺はただ黙って泣き続けていた。リナに抱かれたまま泣き続けた俺はリナに

『可哀想な女の子が居たんだ。彼女はもうこの世に存在せず、誰もその事実を知らないまま彼女は死んでしまったんだ。』

と言っていた。
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