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堕天使 1st gig.
第4章 苛立ち
本当は少々の寝不足くらいで機嫌が悪くなる俺じゃないと知っている五十嵐は俺の機嫌が悪い理由を話そうとしない俺や宗司に

『なら、報告書は明日まででいいぞ。明日には電力復旧して、戒厳令が解除になるからお前さんらは交代が入り次第、2日間の休暇に入れるからな。』

と言って来ていた。五十嵐は情報部隊長という立場だから軍の決定事項は一番最初に五十嵐の耳に入って来る。そして、その情報を機密に触れない程度に必ず俺達に流してくれる。

まだ戒厳令中だが、テロの第2波が無いと判断した上層部は今回の任務成功のご褒美に2日間の休暇を俺達に与える決定をしたらしい。

『ありがてぇお話しだな。』

俺はやはり不機嫌なまま上層部に対する嫌味を言っていた。要するに緊急で呼び出して働かせた以上、休暇を与えなければ労基とやらに引っかかるからだ。

僅かな休暇の為に命をかけさせられる俺達軍人は世間じゃ軍の犬と言われている。俺の嫌味に五十嵐は

『それが軍だからな。』

と俺をたしなめるように言っていた。それは上層部批判は大っぴらにするなって事だ。俺はこれ以上、自分の不機嫌を五十嵐にぶつけない為に

『腹も膨れたから寝るよ。』

と答えていた。五十嵐を食堂に残し宗司を連れて俺は仮眠室に向かっていた。仮眠室は狭い通路のような個室で簡易ベッドと小さな手洗いが付いている程度の狭い小さな部屋だ。

『2時間で起こせ。』

宗司にそう言ってから俺は仮眠室に入っていた。本当は苛立って眠れないのだが身体だけは休めないと万が一に対応出来なくなるからだ。

2時間の間、ただ目を閉じて身体を横にする。俺の頭の中には残念な事に泣きそうなリナの顔しか思い出せない。

知り合いの市兵に頼んで家の様子を見に行ってもらうか?いや…、知らない人が来てもドアは開けるなと俺がリナに教えたんだ。

そんな事を考えながら、今更にリナに携帯端末を与えなかった事を俺は後悔してしまう。

今は昼の14時、明日の朝8時には戒厳令が解除されて俺は家に帰れる。

後18時間…

そうやって頭の中でカウントしてしまう。そして2時間きっかりに宗司が俺を呼びに来た。

後16時間…

五十嵐は明日まででいいと言っていたが夕方になる前までには報告書は無事に全員分が揃い2課はただの暇な軍人集団と化していた。
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