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堕天使 1st gig.
第6章 山内
俺がまた帰って来なくなるかもしれないというリナの不安をリナは容赦なく俺にぶつけて来る。ぶつけられても俺はリナに何もしてやれないから仕方がないのだが、リナはまだそこは子供のままだった。

ずるいのはわかっていて俺はリナに

『仕事だから寝かせろ。』

と逃げていた。リナはかなり険しい顔で

『わかってる。私はアルトが居ない時は1人でちゃんとすればいいんでしょ。』

と拗ねたように言ってから自分のベッドに入っていた。俺とリナのこの関係はリナが成長した今も相変わらずだった。

俺はリナには手は出さない。出せばリナを今より更に苦しめる事になりかねない。だからリナには俺みたいな男だけは選ばせたくなかった。

雄太やハヤトは、リナは既に俺の女だと勝手に思っている。小雪は最近は不機嫌は治り、リナといつの間にか女友達になって俺に隠れて俺の文句を2人で言っているらしい。

宗司はよくわからない。ただニヤニヤしながら俺に

『我慢は似合わないですよ。』

とだけ宗司は言いやがる。

それでも俺は多分、リナを傷つける事になるのが怖かった。愛情が無ければ多分、俺は小雪のようにリナを簡単に抱けると思う。だけど俺は保護者として間違いなくリナに愛情を持っていた。

だから俺は未だにリナを抱かずに宗司の言う通り、我慢をする。リナが俺を置いてこの家を出て行くまでが俺の責任だと俺は思っていた。

翌朝、リナはやはり不機嫌なままだった。ちゃんと帰る約束なんか出来ない俺はリナに

『留守番よろしく。』

とだけ言ってやる。リナは俯き、まだ拗ねたまま俺に

『ご褒美…。』

と小さな声で言うから俺はいつものように少しかがんでからリナの頬にキスしてやろうとした。瞬間、リナが俺の方に振り向いて俺の口にはリナの柔らかい唇が押し付けられるように当たっていた。

『リナ!?』

そう叫ぶように言った俺にリナはイタズラに成功した子供みたいにニンマリと笑い

『いってらっしゃい。』

とだけ言って無理矢理に俺を家から叩き出していた。
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