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第7章 役人

休日の夕飯にはいつもの焼き鳥屋だった。この焼き鳥屋は３兄弟が経営している。長男が寿司、次男が焼き鳥屋、三男が居酒屋なのだが、常連になればどの店のメニューを頼んでも構わないというルールがある。

しかも、軍人には割とサービスがいい店だから、店の常連の半分は軍人だった。

家を出て店に入るまで、リナは俺にベッタリだ。キス以上はさせないくせに、恋人ごっこはやりたがるリナに焼き鳥屋で小雪が

『ただでさえ暑くなる季節に暑苦しい。』

と嫌味を言う。リナはケロりと小雪に

『アルトは嫌がらないから。』

と言ってからますます俺に引っ付いて見せつけようとしやがるから俺はリナに

『今日は雄太の奢りだから、好きなだけ食え。俺には特上寿司とビールな。』

と言ってから俺はリナを引き剥がしてから宗司をテーブル席からカウンター席に促した。俺のオーダーに雄太が

『裏メニューはずるいっすよ！』

と叫んでいたが俺は雄太の頭を軽く叩き、カウンターに向かっていた。

機密の関係で隊員達に聞かせられない話しがある時は俺は宗司とカウンターに移動する。リナは小雪に任せているから大丈夫だろうと俺はカウンターに座っていた。宗司が隣に来てから俺は

『山内のところに行って来た。』

と言っていた。山内の話しは雄太の前じゃタブーだった。今も山内のところに行くのは毎年俺１人だけだ。宗司は

『なるほど…。リナさんもですか？』

と聞いて来る。俺は少し不機嫌に

『そうだよ…。』

と答えていた。俺は隊員達にほとんど自分の事は話しした事がない。余計な詮索をされるのも嫌いだ。だけど宗司は何故か見抜く。

多分、宗司は俺と小雪との関係も知っていた。知っていて黙って俺を責めるように見ていた。だから俺はどうせ宗司には見抜かれるならと宗司にだけは簡単に状況を伝える。宗司は

『それを隊長が覚悟して決めたのなら、別に悪い事ではないのですから頑張って下さい。』

といつもの涼し気な顔で言いやがる。覚悟とか俺にはまだよくわからない。ただ、涼宮のように家族の為に必ず生きて帰るという強い信念が必要だという事だけは理解した。