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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
その約十分後のこと――。
「それで、貴女――」
「は、はい!」
サラはソファーに座した背筋を伸ばすと、上擦った声で返事をした。
「昨夜のメールでは、急にお金が必要になったということだけど……?」
「そうなんです。学校の学費と生活費を、自分でどうにかしなければならなくなって……」
サラは一応の経緯――自分の置かれた状況を、詳しく話して聞かせた。
「そう……」
それを受けて、向いに座る女は、やや怪訝そうにサラの顔を見つめる。
階段を昇ってノックしたドアの向こう側は、向かい合わせのデスクが二脚あるだけの簡素な事務所だった。其処には誰の姿もなく、暫くの間、サラは途方に暮れて立ち尽くすことに――。
が、やがて事務所の奥の扉が開くと、其処から登場した人物に招かれ『社長室』と記されたその部屋に通されていた。
そうして現在は、面接の真っ最中というわけである。
「私は、紅葉零子(べにや れいこ)――一応は社長ってことになってるけれど、そんなに大したものではないのよ。まあ、よろしくね」
それは昨日メールをくれた当人。向かいのソファーで組み変えた脚が、なんとも艶めかしい。
膝上の濃い紫のスカートに両サイドには、ムチムチの太ももを強調するようなスリットが切れ込んである。全身的に肉感的なボディーをしていて、当然とばかりにバストもたわわだ。
スカートより薄い紫色をしたスーツの上着の胸元からは、くっきりと深い谷間を惜しげもなく覗かせていた。
歳の頃は、三十前後といった処だろう。これが大人の色香というものか、とサラは思わず感心する。
とても確かなことが、ひとつ。それはこの紅葉零子が、掛け値なしに美女である、という一点に尽きた。