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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

「もしかして……咲花さんが、今夜の紺野さんの相手……?」

「まあ、そうだけど……」


 咲花はそう答えると、その細い眉根に不快そうな皺を寄せた。


「ホント、失礼だと思わない? 新宿で一番の女を味わったその後で、あんな垢抜けない娘と――なんて。紺野さんのも、もの好きってゆーかさぁ」

「!」


 そこまでの話を聞き、黒木の顔つきが変わる。

 その様子を気にすることもなく、咲花は続けた。


「もしかしたら、あの娘――今夜は帰してもらえないかもね。だからぁ、俊ちゃんはなにも気にせずに、私のことを送ってけばいいの」


 しかし、それを最後まで聞き届けることなく――。


「くそっ、あのバカ」


 黒木はその場から、勢いよく駆け出していった。



「……」


 その後ろ姿をきょとんとして見送っていた咲花は、暫くしてクルリと踵を返しホテルの玄関へ向かってスタスタと歩んで行く。

 その途上、とても険しい目をして、こう呟いていた。


「どいつもこいつも――ああ、イライラする……」

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