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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?
※ ※
「なんなのよ。あの、チンピラはぁ」
部屋に戻るなりベッドにどっと横たわると、サラは先ほどの黒木の態度を思いつつ腹立たしげに言った。
「いつも無愛想だし。なにを考えてるのか、全然わかんない。あんな身なりしてる割に、ホントは結構、内向的なんじゃないの? 言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいじゃない」
愚痴を言って、サラは天井を見上げた。そんなことばかり言っていると、自分のことが嫌いになりそうになる。だから、サラは自然と違うことを思い出していた。
それは、イケメンさん――紺野涼との会話だ。
「駄目、かな?」
自分だけを見ていてほしい――そんな意図を伝えられたサラは。
彼――紺野涼の気持ちを見て取ることができずに、戸惑う。
それでも――トクン、トクン――心音はそこはかとなく、サラの胸を打ち続けていた。
「私にっ……似てるっ……と」
「ん――なんだい?」