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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?

「なぜって、その理由はわざわざ申し上げなくても……」

「経験がなくては、風俗の仕事はできないということ?」

「まあ、そう考えるのは、当然だと思いますけど」

「けれど世の中には、貴女が処女であるからこそ、高いお金を払おうという人も、きっといるわよ」

「そ、そんな……私は別に、お金のためだからって、なにをしてもいいとは思ってませんし」

「でも、お金は必要なんでしょう? それもさっきのお話からすれば、それなりの額よね」


 生活費と学費を自分で賄わなければならない事情は、既に零子に話していた。


「それは、そうなんですけど……」


 サラは少しむくれたように、唇を尖らせる。

 どうも零子の話しぶりから察するに、やはりここは風俗関連なのだろう。だとすれば、これ以上話を続けても不毛だ。なし崩しに入店させられる前に、きっぱりと断らなければならないと感じた。


「とにかく、私――風俗で働くつもりはありません」

「あら、そう? でも、ウチは風俗じゃないのよ」

「えっ? だ、だって……さっきは」

「そうね。その方面とまるで無関係とは言い切れないの。だから、少し意地悪な言い方をしてしまったけれど、貴女にやってもらう仕事は、とりあえずは『見ること』――それだけなの」

「ホントに……見る、だけ……?」

「ええ、そうよ」


 サラは昨夜サイトで目にした『求めるものは、貴女の”その眼差し”だけ』という言葉を再度、思い出す。そして、俄かに顔を擡げた好奇心から、期せずして訊ねた。


「じゃあ、私に……一体、何を見ろというんですか?」


 それに対する零子の返答は、とてもシンプルだった。


「セックス」

「は?」

「貴女には、人のセックスを見てもらうことになります」


 そう告げた零子は、とても妖艶な微笑みを浮かべる。

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