この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
「なぜって、その理由はわざわざ申し上げなくても……」
「経験がなくては、風俗の仕事はできないということ?」
「まあ、そう考えるのは、当然だと思いますけど」
「けれど世の中には、貴女が処女であるからこそ、高いお金を払おうという人も、きっといるわよ」
「そ、そんな……私は別に、お金のためだからって、なにをしてもいいとは思ってませんし」
「でも、お金は必要なんでしょう? それもさっきのお話からすれば、それなりの額よね」
生活費と学費を自分で賄わなければならない事情は、既に零子に話していた。
「それは、そうなんですけど……」
サラは少しむくれたように、唇を尖らせる。
どうも零子の話しぶりから察するに、やはりここは風俗関連なのだろう。だとすれば、これ以上話を続けても不毛だ。なし崩しに入店させられる前に、きっぱりと断らなければならないと感じた。
「とにかく、私――風俗で働くつもりはありません」
「あら、そう? でも、ウチは風俗じゃないのよ」
「えっ? だ、だって……さっきは」
「そうね。その方面とまるで無関係とは言い切れないの。だから、少し意地悪な言い方をしてしまったけれど、貴女にやってもらう仕事は、とりあえずは『見ること』――それだけなの」
「ホントに……見る、だけ……?」
「ええ、そうよ」
サラは昨夜サイトで目にした『求めるものは、貴女の”その眼差し”だけ』という言葉を再度、思い出す。そして、俄かに顔を擡げた好奇心から、期せずして訊ねた。
「じゃあ、私に……一体、何を見ろというんですか?」
それに対する零子の返答は、とてもシンプルだった。
「セックス」
「は?」
「貴女には、人のセックスを見てもらうことになります」
そう告げた零子は、とても妖艶な微笑みを浮かべる。