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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?
※ ※
この日はまだ、日没前だった。
白隅サラを一人クライアントの待つマンションで降ろした後、適当な場所にベンツを移動し、そこでいつもの如くシートに深く身体を預けてふて寝している。
「ふあぁ……」
黒木は欠伸をすると、スマホで時間を確認。まだ三十分しか経ってないと知り、顔をしかめた。
今日サラが担当するのは、新規の顧客である。黒木はそれまでの経験から、初めての客はリピーターに比べて時間がかかる場合が多いということを知っている。だが、それはセックスという行為自体の時間ではない。
すなわち時間がかかるのは、それを始めるまで。オンルッカーがどの様なサービスかは理解していたとしても、実際に人前でセックスをするのには相応の覚悟が必要ということなのだろう。
あと、一時間はかかると踏んだ黒木は、また目を閉じた。
まったく……これじゃ、あの女の言う通りじゃねーかよ。
黒木はそう思いながら、先程まで激しく言い合った、白隅サラの怒り顔を思い浮かべていた。
どうしてサラに対して、自分がこんなにも苛立つのか。その原因は既に何となくわかっていた。少なくとも、好きとか嫌いとかそういう話じゃねーから、と心の中で言い訳のような前置きをし。
黒木はその心理を、この様に紐解いた。