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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?
洗面所から部屋に戻ると、先程よりもずっと居心地のよくない空気がサラの周囲を包もうとしてゆく。
サラの見つめる前には、床の上で身を寄せ合うと仲睦まじく語り合う二人の男が……。
「……」
まさか、ゲイカップルとは……。
もちろんそこに偏見があるわけではないけれど、オンルッカーとしてまだまだ経験が浅いサラとしては想定してないケースの一つだ。
それにしても幾らケンカしてしまったとはいえ、黒木が一言くらい説明しておいてくれれば変に驚かなくて済んだのに、と少し不満に思う。
クライアントのセクシャリティはともかく、オンルッカーとしてやることは同じだ。サラが気を取り直し、改めて二人の方を見つめた。
そんな視線に優男の方が気づき、サラに言う。
「まあ、コーヒーでも飲んでてよ。それとも、熱いの淹れ直そうか?」
「いいえ、もう充分ですから。それよりも、できましたら――そろそろ仕事の方を」
サラが上目づかいに、おそるおそると訊ねると――
「ああ、そっかそっか。できれば、もう少し気分を盛り上げてからがよかったけど」
「あ、すみません。別に、急かしたかったわけでは……」
「ううん、気にしないで。そもそも時間に遅れてしまった、こちらが悪いんだから。いいよね」
優男が坊主の男に了解を取るように言うと、顔を見合わせた二人はすくっと立ち上がった。そして、サラが見上げているすぐ眼前で、徐に衣服を脱ぎ始めている。
「わっ……」
とりわけ大柄の坊主頭がタンクトップをがばっと脱ぎ去った時の筋肉の盛り上がった上半身の迫力に驚き、サラは咄嗟に視線を伏せた。