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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?
「うおっ!」
自分で押しておきながら、けたたましい電子音に坊主頭が驚く。
その手から鳴り響くブザーを取り上げた優男は、それを床に落として容赦なく右足で踏みつけた。
ピィ、ピ……。
破壊されたブザーの電子音が止まる。
「オイ、なんなんだ、ソレ?」
「防犯ブザーですよ。どうやら、彼女の持ち物のようですが」
優男はわざとサラを見ながら、そのように言った。
「ケッ、そんなもん。壊しちまえば、もう意味がね―よな」
坊主頭が、踏み潰されたブザーを眺めて言うが。
「そうでもないみたいですよ」
優男はそう反論し、振り返ると玄関のドアを見やった。
すると、程無くして――。
ピンポーン! と、まずは一回。
応答がないとわかるや、続け様にインターホンが連打された。
「まったく、うるせーな。どういうことだ?」
「さっきのブザーですよ。最近のものは、スマホ連動タイプがデフォルト。一度はボタンを押してしまったから、その後で壊しても。既に彼女の連れには、発信されてしまった後のようですよ」
優男が悠長にそう説明する頃には――。
ダン、ダン、ダン! ガンッ! ガンッ!
ドアから聴こえる音は、既にその性質を変えていた。