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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?
防犯ブザーを取りに動ごき出そうと構えた時から、ずっと緊張しきりだったサラの身体。それが今、ペタンとお尻をベッドの上に着き、やや弛緩したように壁に凭れかかった。
なんとか保とうと努めるのに、緊張が切れる。頭がぼうっとしているのは、あのコーヒーのせいだが。
しかしなにより悪いことに、サラは絶望に近い感覚を既に抱き始めている。自分がどんな扱いを受けるのかは、男たちの会話から嫌でも察しがついてしまっていた。
それに抗おうとする身体と気持ちの力が、どんどん失われてゆくのが自分でもわかる。
そんな時に、ふと思い出したのは【Onlooker】の事務所を初めて訊ねた時の、零子の言葉――。
『しろくまっさら――なのよね?』
それは白隅サラという名前からこじつけ、処女であることを見抜かれてしまったエピソードである。
「い、いや……」
サラは頭を振り、呟いた。
処女であること、ではなくとも。恋愛経験がゼロであることは、コンプレックスにすら思っていたけれど。自分の初めてが、まさかこんな形で……。
そう思えばこそ、大きな瞳から涙が零れ出すのを、サラはもう堪えきれない。
しかし、それを慰め涙を拭ってくれる人は、この部屋にはいない――否、それ処か。
「へへ……そんな顔されちまうと、そそるなぁ」
ギシッ――!
サラのいるベッドに、坊主頭が駆け上がった。そうして、ニヤリと下衆に笑み、後ろの優男に言う。
「いーこと、思いついちまった!」
「伺いましょう」
「コイツの仕事は、見ることなんだろ? だったらよ――よーく、見ててもらおうじゃねーか。鼻先がつきそうなくらい、すぐ近くでなぁ……」
それだけの伝達で、優男は意図を察したらしく。
「アハハハ。はっきり言って、ヘンタイですね」
「それでわかっちまう、お前もなぁ」
そんな言葉を交わした後。坊主頭に続き優男までがベッドに上がると、二人でサラを取り囲むように立つ。そうして――
「えっ……?」
サラはギョッとする。
男たちはズボンを下ろすと、下着の中から自身の陰部を取り出した。