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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?

 サラはなんとか開いた片目で、音のした方を見つめる。

 すると――


 あ……!


 それは(たぶん)ベランダのある窓枠。そのカーテンの隙間を掻き分けるようにして、その『左手』は現れている。そしてそれがおそらくは、窓枠のクレセント錠を探って動いているのだった。

 さっきの破裂音は、ガラスが割られた音である。カーテンの下――フローリングの床に破片が散らばったので、それは確かなこと。

 その結果として出現した、彼の『左手』はその時のダメージのためか、血を滴らせていた。

 でも、どうして――サラはそれが『左手』だと、すぐにわかったのだろう?

 お茶碗を持つ手とお箸を持つ手――。小学校高学年になるまで自分の手の左右ですら、そうやってイチイチ確認していたサラであるのに――。

 けれど、その理由は――とてもシンプルだ。

 カチャ――と、クレセント錠を探り当て、今それを開いた手の甲には――。


「ドクロの……タトゥー……」


 サラは確かにそこにそれを認めて、呟いた。

 その、ほんの一時間前――。


『怖いから、嫌いです。そのタトゥーだって――』


 そう言ったばかりの、それに――


「あ……ああ……」


 今、サラは――心より安堵するの、だった。

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