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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?

 ガラッとサッシが開く。分け入って来た長い手足。背の高い金髪の頭。サングラスの眉間に、くっと細い眉が寄った。


「黒木……さん」


 絞り出すように、そう声を発したサラ。

 当面、敢えてそっちを向かずに顔を背けた黒木は、深いため息を吐いた。

 すると、いつの間にかズボンを履き侵入者から距離を取っている、優男が訊く。


「どうやって、ここに?」


 それに対し面倒そうに顔をしかめた黒木は、誰に向けるでもなくこう話した。


「ああ……カギが開かなくて困ってたんだよ。そしたら、『親切なお隣さん』が登場してな。こっちにおいで、って部屋に入れてくれた」

「それで……彼らは?」

「とりあえず――休んでもらってる」


 事も無げにそう言った黒木の口元には、言葉とは裏腹に激闘を物語るような殴打の跡が……。


「それで、ベランダから飛び移って? だが、このマンションのベランダは、足場が狭い上に隣までの間隔は広い。それにこのフロアを、何階だと思ってるんだ?」

「別に。たとえスカイツリーだとしても、関係ねーよ。送迎と待機――それと、もう一つの仕事が、俺にはあるから」


 つまらない話題を、そこまでで切り上げた。それから黒木は、精一杯に自分の名を呼んでいたサラの方を、ようやく見る。

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