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【Onlooker】~サラが見たもの~
第4章 安堵させる、左手?

 髪を掴まれたまま、呆然としていた。無残に衣服を裂かれ、生々しい半裸を晒す。無造作に開かれた脚は、スカートの丈を意識することもなくて――。


「……」


 黒木はその姿を、白隅サラには相応しくないと思った。

 そして次に、その髪を掴む坊主の大男に視線を移すと、それをギンと睨みつける。


「一応は聞いてやる。一体、なにを――していた?」


 そう問われた坊主頭は、まさに絶頂を迎えようとしていた瞬間から、一気に冷水を浴びせられたような突然の事態を、まだ咀嚼できないようだった。


「なにって……早くイッた方が……コイツの処女を、だな……?」


 その間の抜けた返答を耳にし、黒木のこめかみに血管が浮いた。


「早くイクだと? コノヤロー……それは、俺に対する当てこすりか?」

「は?」


 黒木は「ちっ」と小さく舌打ちし、それから説く。


「そいつが勝手に女になろうがどうだろうが、そんなことは知ったことじゃねーよ。けどな……そいつを無理に汚そうとしてる奴らは、俺が許さねーから」

「な、なんの話だよ?」

「ハッ――気にすんな。只の――独り言だよっ!」


 ダダッ――ガツン!


 黒木の怒りが、先ずは鮮烈に弾けた。

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