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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
「……」
黒木という若い男は、サングラスの脇からチラリとサラを一瞥すると、またプイと視線を前に戻した。
なんなの、この人? こっちが挨拶してるのに……。
流石にややムッとなり、サラが眉根を寄せた時だ。不意に零子が口にした言葉が、一見クールな黒木の態度を豹変させることになった。
「実は、こう見えて――彼って、極度の早漏なのよ」
「そうろう――?」
サラがそう繰り返し、なんだっけ? と、言葉の意味を思い浮かべようとした時だ。
キキィ――!
「きゃっ!」
突如、急ブレーキがかかり、勢いサラと零子の身体が前につんのめった。前の座席に手を置き、なんとか堪えると零子が言う。
「ちょっと、黒木くん! 危ないじゃないの」
「しゃ、社長こそ急に……な、なにを言ってんすか!」
「あら、だって。黒木くんがサラちゃんに照れて、ろくに挨拶もしないものだから、私が代わりに紹介がてらと思ったのだけど。いけなかったかしら?」
「いけないに決まってるでしょ! 俺が一番触れられたくない部分を、よりによって初対面の相手に言います? それに、別に照れてなんかねーし……」
「じゃあ、サラちゃんの秘密も教えてあげるから、それでオアイコにしましょ」
「え?」
嫌な予感がして、サラが零子を見た時はもう手遅れだった。
「こちらの白隅サラちゃんは、二十歳でまだ処女なんですってよ」
「な、なな……」
咄嗟に言葉にできず、サラはまたしても顔を真っ赤にすることに――。